頭痛、片頭痛の診断・治療
日本人の3~4人に1人が頭痛持ちと言われています。
頭痛には、緊張性頭痛、片頭痛、群発頭痛などの頭痛があり、それぞれ症状が異なります。
緊張型頭痛
頭痛の症状を訴える方の多くが緊張性頭痛です。
精神的・身体的ストレスや筋肉の緊張などが複雑に絡み合っておこる頭痛と考えられています。
後頸部からはじめる鈍痛で、肩こりを伴うことが多いのが特徴です。
イブプロフェンなどの NSAIDs、解熱鎮痛薬、抗炎症薬、筋弛緩薬(きんしかんやく)、抗不安薬、抗鬱薬、漢方薬の服用による治療や、ストレッチなどの運動による治療等があります。
群発頭痛
1年から3~4年に数回程度、1か月から数ヶ月に渡る「群発期」に毎日のように決まった時間に発症する場合が多いのが特徴です。
その他頭痛
頭痛は、上記で紹介した頭痛以外にも、クモ膜下出血、髄膜炎、大きな脳出血など、場合によっては後遺症が残ったり死に至る危険性があるものがあります。
片頭痛
男性よりも女性のほうが症状を訴えることが多い頭痛です。日常生活に影響があり、動くとがんがん響いてつらく寝込んでしまうこともあります。
吐き気がして実際吐いてしまうこともあります。また光、音、においに過敏になることもしられています。
新しい片頭痛急性期治療薬「レイボー®」
トリプタンのように片頭痛発作が起こった際に頓用で内服する新しい薬剤です。
2022年6月8日に発売されました。
トリプタンを使用できないタイプの片頭痛の方(片麻痺性片頭痛など)、トリプタンでは効果が今ひとつな方など、ご相談ください。
新しい片頭痛予防薬「エムガルティ®」 「アジョビ®」 「アイモビーグ®」
片頭痛の発作に対して大変高い予防効果を持つ新しい薬剤です。
2021年4月下旬にエムガルティ®が、2021年8月にアジョビ®、アイモビーグ®が相次いで発売されました。
当院では3剤とも用意しております。
片頭痛発作が起きた時に使用する薬(急性期治療薬)ではなく、片頭痛発作の頻度・重症度を下げる目的で定期的に使用する薬(片頭痛予防薬)になります。すでに米国では使用されており、頭痛臨床の現場で良い成績を収めています。
対象となる患者
既存の薬剤による片頭痛発作のコントロールが不良な方は当然良い適応になります。
対象となる患者は、概ね以下の4項目全てを満たす必要があります
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- 片頭痛の診断がついている18歳以上の方(将来的に18歳未満への適応拡大が期待されます)
- 1ヶ月あたりの片頭痛日数(MHD)が平均4日以上
- 片頭痛治療を適切に行っても、頭痛のコントロールが不十分である
- 本邦で既に承認されていた片頭痛予防薬*のいずれかが、効果不十分・副作用などから使用・継続できない
*片頭痛予防薬
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- プロプラノロール(インデラル®;高血圧の薬)
- バルプロ酸(デパケン®、セレニカ®;てんかんの薬)
- ロメリジン(ミグシス®)
- アミトリプチリン(トリプタノール®;適応外。うつ病の薬)
- ベラパミル(ワソラン®;適応外。不整脈の薬)
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注射のお薬です。
- アイモビーグ®は4週ごとに1本ずつ注射します。
- アジョビ®は4週ごとに1本ずつ注射するか、12週ごとに3本ずつ注射する方法があります。
- エムガルティ®だけは初回に2本注射する必要があります。その後は毎月1本ずつ注射します。
費用負担について
- エムガルティ®は1キットあたり42,675円(3割負担の場合、1本12,803円)
- アジョビ®は1キットあたり39,090円(3割負担の場合、1本11,727円)
- アイモビーグ®は1キットあたり38,980円(3割負担の場合、1本11,694円)
- その他、通常の診察料、注射処置料などがかかります
- 一人親世帯の方は、「ひとり親家庭等医療制度」を利用すると通院での保険診療自己負担金が1ヶ月あたり800円で済みます。対象の方は制度を上手に活用されてください。